参院議員の悲鳴で退陣に追い込まれた鳩山由紀夫首相。「政治とカネ」問題が指摘されてきた小沢一郎幹事長も辞任に引きずり込み、民主党のイメージ一新を狙った参院選対策の退陣劇だ。だが、この窮余の策も、賞味期限が短い可能性がある。参院選の劣勢は本当に挽回(ばんかい)できるのか−。(森山昌秀)
首相の退陣表明を受けた小沢一郎幹事長の日程選びは電光石火だった。予定していた7月11日投票の参院選日程を変えないと明言。新代表決定も内閣発足も週明けまでに終わらせる早業で、新内閣発足による瞬間的な「支持率アップ」を、参院選勝利に結びつけようとする思惑が明らかだ。
背景には、民主党が5月中旬に実施した独自の参院選情勢調査がある。
調査は、同党の獲得議席が選挙区と比例代表を合わせて29議席と「惨敗」する可能性を指摘した。社民党の連立離脱もあって、自民党を苦しめてきた参院での与野党逆転という「ねじれ再来」が予想された。
特に、改選数1の全国29の「1人区」は厳しい。議席獲得が有力なのは岩手、奈良など数県で、平成19年参院選で惨敗した自民党の「6勝23敗」の恐怖が民主党を襲った。小沢氏主導で候補者2人を擁立した改選数2の「2人区」でも「共倒れ続出」の懸念が広がっていた。「支持率は底を打ったのではないか」。民主党幹部が期待した5月末の世論調査でも、内閣支持率は続落。2割を切った。
改選数121のうち、みんなの党など小政党が30議席を占めると計算して、残り約90議席の半数45議席以上を獲得したい−。今回の退陣劇は、そこに狙いを定めている。
問題は、新内閣が劣勢を挽回するほどのインパクトを世論に与えることができるかどうかだ。
後継が有力視されている菅直人副総理・財務相が、現在の内閣をわずかな入れ替えで引き継ぎ、党人事も小沢幹事長の「傀儡(かいらい)」色を強めることになった場合、「人気は長続きしないのでは」(党中堅)との不安は残る。
こんな歴史がある。
平成元年6月に発足した自民党の宇野宗佑(そうすけ)内閣は、竹下登内閣がリクルート事件と消費税で退陣したことを受けて発足した。だが、直後に首相自らが女性問題にまみれ、翌7月の参院選で惨敗した。米軍普天間飛行場の移設問題や消費税増税と財政再建など火種になりそうな課題が山積している民主党政権が参院選を急ぐのはこのためだ。
イメージチェンジに成功した例では、「60年安保闘争」の混乱の責任をとって総辞職した岸信介氏に代わり、「所得倍増計画」を掲げて発足した池田勇人内閣が4カ月後の昭和35年11月の衆院選で大勝した。
参院選はもともと与党には鬼門となりがちだ。平成10年の参院選選では44議席しか獲得できなかった橋本龍太郎内閣が退陣。19年参院選でも、37議席に終わった安倍晋三内閣が2カ月後には辞任に追い込まれた。
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